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絵恋ちゃんと立川談志の相似性 〜絵恋ちゃんの『ああ えらそうに コラムが書きたい』第21回「地下アイドルとして生きることの苦労」を読んで〜

 

 

202341日に更新された絵恋ちゃんの漫画とコラムを読みました。

https://rooftop1976.com/column/eren/230401110000.php#google_vignette

 

ビリビリと鳥肌が立つようにしびれました。毎度のことながら毎度のように思いもよらぬ衝撃を/驚きを与えてくれる絵恋ちゃんの文章。本当に凄いです天才...

 

絵恋ちゃんの文章は、文章の枠組み/構造/既存概念を粉々にぶち壊しこちらの世界に飛び出してくるような感覚が凄いです。この、画面とこちら側の現実の境界を犯し飛び越えてくるリアルな感覚は、かの絵恋ちゃん配信ライブシリーズとも共通する、ともすれば絵恋ちゃんの表現全てに通奏低音として流れている大きな魅力であると思います。

絵恋ちゃんは、境界をぶち壊し、こちらに、やってくるのです。

 

ここからは僕の感想や個人的考察をめちゃくちゃ引用して記していきますので、めちゃくちゃネタバレしかしていないですので、

漫画&コラムを読んでいない方は是非そちらを読んでください。

https://rooftop1976.com/column/eren/230401110000.php#google_vignette

 

完全に私個人の見解であり、絵恋ちゃんの考えとは全く違う部分も多々多々あると思います。ご了承ください。

 

 

 

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まず、今回の漫画&コラムのタイトルは

「地下アイドルとして生きることの苦労」

となっております。

こんなこと、普通の絵恋ちゃんなら書かないです。きらきらとした、ある種完全に作り上げたアイドル的魅力のみを見せていきたい。というのが、絵恋ちゃんの基本姿勢だからです。輝きの裏側にある努力はみせないのが粋である。という考え方をしているのだろうなと、推していてたびたび感じます。

(まぁ...えれナイとかやってる時点で裏側まで全部みせていて人間的魅力丸出しですが。それも含めて全部好きだし、そういう部分も見せてくれるのも本当に嬉しいです。)

 

そんな絵恋ちゃんらしからぬタイトルではじまった文章は、僕たちオタクが薄々勘づいていたけれど、見て見ぬふりをするほか何も出来ない、地下アイドルの苦しい現状をつまびらかに、とつとつと、あまりにもリアルに、語ります。

少ない収入/アルバイト/経費/時間/プレッシャー/心労/批判/......重い...重い現実...読んでいて気持ちがずしんと沈み込みます...

 

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と、ここで!

「地下アイドルとしての生活は、決して楽なものではありません。でも、それでもわたしたちは」

と唐突に文章が区切られ、

「以上、今回のコラムはAIに書いてもらいました。」

とネタバラシ!すごい!だまされた!めちゃくちゃおもしろい!🤣

 

その後はAIに対する冷静なツッコミが入れられる文章が淡々と続きます。おもしろい!🤣

 

そして最後に!AIの文体を真似た文章で落とすお後がよろしい天丼オチ!🤣よっ!絵恋ちゃん!上手い!流石!落語!座布団1枚!

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というのが文章構造にのっとったストレートな解釈であると思われるのですがどうでしょう。あまりにもAIが作成したとされる地下アイドルの苦労を語った文章がリアルすぎやしませんか???

 

「普段の生活費や衣装代などの費用を稼ぐために、アルバイトを掛け持ちしなければならないことが多」かったり、

「自分自身のスキルアップやアイデアの発想が求められますが、そのプレッシャーはかなり大き」かったり、

「自分が愛されていると思っていたファンに、いきなり批判されたり、裏切られたり」と、

こんな地下アイドルの事情に踏み込んだ詳細なディテールAIにわかるわけがない!!!地下アイドル自身にしか!!!人間にしか!!!絵恋ちゃんにしか!!!書き得ない文章!!!

 

つまり、

「以上、今回のコラムはAIに書いてもらいました。」

というのが

【2023年度 絵恋ちゃん エイプリルフールの嘘】

であると思います。凄え!!!

 

おおっぴらに言うべきではない。と考えている苦しい裏事情も、時には声高に叫んでしまいたい時だってあるのだろうと思います。絵恋ちゃんは見せている部分でも、見せていない裏側でも、真面目で/本気で/一生懸命な頑張り屋さんの働き者な本物の偉人なので、たまにはこうしてズバッと言ってしまわないとやってられないのだろうなって思います。

AIのせいにしてしまえばこうして好き勝手になんでも書けるというトリック。"絵恋ちゃんみつけたな!"って思います。

 

懐事情が厳しいことも、上がり続けるハードルを超え続けなければならないプレッシャーも、共依存だと信じていたオタクに裏切られることも...。全て絵恋ちゃんが絵恋ちゃんとして生きる上で背負っている【業】であると思います。

 

落語家の立川談志師匠曰く

「落語とは、人間の業の肯定である」

 

つまり、(完全に私の解釈ですが、)人間が人間として生まれた故に背負ってしまう避けがたいみっともなさ/苦労/つらさ/悲喜こもごもを、全部ひっくるめて肯定するのが落語である。と。

 

談志が落語を通じて談志自らの業を肯定したように、絵恋ちゃんはこうしてコラムやライブやトークなどで"地下アイドル"として活動することを通じて、絵恋ちゃん自身の業を、笑いにして/楽しさにして/感動にして、肯定しているように感じるのです。

 

すなわちそれはハリケンパ!

【ハリケンパとは、人間の業の肯定である】

と言えます!

(参考 https://henkanonasa.hatenablog.com/entry/2022/10/15/223730)

 

...すこし論が飛躍しました。絵恋ちゃんの業は、どこかオタクの業と、現代に生きる多くの者達が背負う業と、共通するところがあります。それゆえに、どうしたって心に響いてしまうのだと思います。

"オチが上手い"という明快な理由だけでなく、絵恋ちゃんは本質的に落語的であると言えると言えます。絵恋ちゃんと談志は、生き様が似ています。

(参考 https://youtu.be/gnONZ_fpGEw )

 

 

 

以下、感動した文章を箇条書き的に挙げます。

 

・「でも、わたしたちはそれでも地下アイドルとして生きていくことを選びました。なぜなら、わたしたちは自分たちが歩む道を自分たちで選んだからです。わたしたちは幸せを手に入れるために、自分たちの全力で努力しているのです。

 

 地下アイドルとしての生活は、決して楽なものではありません。でも、それでもわたしたちは」

というAI風な絶妙に意味のわからない文章を書くのがめちゃくちゃ上手い...。文章全体の構造を成立させるために、ここだけ意図的にAI文章に寄せているのだと思います。ホント絵恋ちゃんは技術が凄いです。そして物事を斜めにとらえるまっすぐな視線が素敵です。

 

・「 「絵恋ちゃんらしい、シニカルで意外な視点のあるコラムを書いてほしい」と注文」

という、絵恋ちゃんが絵恋ちゃんを俯瞰で見た絵恋ちゃんを絵恋ちゃんが書いた文章めちゃくちゃおもしろいです!し、絵恋ちゃんの業マジで深いなって思います。

 

・「「苦労について正直にお話しします」と始まっていますが、百歩譲ってお話ししてもかまわないけど、せめて絵恋ちゃんにはおもしろくあってほしいのです。」

↑wwwww もう本当に...絵恋ちゃんの絵恋ちゃんへの眼差しが最高だし本当にお疲れ様です。

 

・「そのあとも赤裸々な独白が続きますが、絵恋ちゃんをやりきる覚悟がないのなら、今すぐ絵恋ちゃんを辞めてもらいたいです。同じ絵恋ちゃんとして情けないです。」

そして至ったこの場面!!!これは凄すぎる!!!大迫力!!!絵恋ちゃんがいっぱい登場(かわいい)!!!めちゃくちゃおもしろい!!!こういう病気あるよね!!!業が深い!!!

 

・「最近では「人間の仕事がAIに奪われる」なんて騒がれることもあるので、」

という文章からは"AIになんかやられてたまるか!"という人間としての/表現者としてのプライドと、それでもやっぱり感じてしまう危機感を感じます。昨今の乱立するAI諸々に関して、思うところが多大にあるのだろうと思います。ちなみに『楽だ』MVでも、AIホニャララに対するこの批判的視点は見て取れます。

 https://youtu.be/COOZ_PadQ7w

でも、こんなに入り組んだ、人生乗っかった所業!AIになんかいつまで経っても出来る訳がないです!大丈夫です!絵恋ちゃんはこうしてAIを引き合いに出した極めて人間的表現をすることによってAIに対して人間の凄さを見せつけてやっているのです!どうだ!まいったかAI!人間ってすごいだろ!!?

AI..........

 

・「もし次回があるなら、もうすこし依頼の仕方を工夫して、妥協せず何度も書き直させて、より絵恋ちゃんが書きそうな文章に仕上げてもらおうと思います。時間はかかりそうですが、地下アイドルとして生きるためには、そういった苦労も必要なのです。」

と、AIと絵恋ちゃんの境界線が崩壊し立場が逆転する場面!!!破壊屋さん!!!大メインクライマックス!!!ゾクゾクします!!!

 

・「地下アイドルとしての生活は、決して楽なものではありません。でも、それでもわたしたちは」

そして見事にもほどがあるオチ!!!惚れ惚れする!!!スタンディングオベーション!!!落語の大ネタ聴き終わった後の莫大な感動と余韻がある!!!真の真打!!!追い出しの太鼓が聴こえる!!!

 

絵恋ちゃん天才!!!!!

 

 

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そんなこんなを長々述べてきましたが、ここまでは前段のコラムに関しての記述。おまちかねの本編である漫画の感想を言いたいと思います。

 

いや、本当に絵恋ちゃん天才...。切りっぱなしの、原始的な、無骨な、えったんこ100%。本編の名に恥じません。この漫画を、ひらたく、わかりやすくしていったのがコラムであり、ライブであり、その他諸々のえったんこであると思います。もっともピュアなえったんこ。最後の顔の対比理解る。何重!!?!?!!?😭